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イワタUD新聞明朝の有効事例

ユニバーサルデザインの視点に基づき、新たに開発された新聞書体です。「イワタUD新聞明朝体」は、見やすく読みやすい新聞紙面を構成できる次世代の新聞書体として設計されました。

UD新聞明朝使用例

開発の背景(新聞文字を取り巻く環境)

新聞紙面は戦後間もない1951年(昭和26年)に1ページ15段,1段15文字制がスタートしました。その後時代とともに大きな文字が必要とされましたが、新聞は従来の枠の中で1段の文字数を減らすことにより対応してきました。
そして高齢化社会が進むにつれ、新聞紙面の大文字化のニーズが急速に進み、2008年、多くの新聞社において、紙面の組み体裁を変更したり、1ページ15段の枠から脱却して12段にして文字を大きくする社も登場しました。しかし、本文文字は単純にサイズを拡大するだけでなく、その大きさに合うよう、文字の品質(デザイン)そのものを見直す必要にも迫られていました。このような環境の中で、イワタとしては次の点を基本理念として「大文字」にふさわしい新聞本文文字を開発するに至りました。

UD 新聞明朝の基本コンセプト

・ユニバーサルデザインの思想に基づき、誰もが見やすく、読みやすい文字である こと
・文字の品位が維持されると同時に、美しい紙面が構成できる統一された書体であること
・デザインコンセプト

▶線率(縦横線の比率)を見直した目にやさしい文字縦横線の線幅を近づけることにより、従来の明朝体にみられる横線の細さ、文字のちらつき感を無くす。

▶文字の正方化に対応
標準使用扁平率を85%とし、文字正方化の流れに対応。
従来より自然な文字組みの体裁が実現可能。

▶可読性と品位を考慮した漢字と仮名のバランス
従来、仮名を限界まで拡大して文字を大きく見せるケースが多かったが、漢字と仮名の大きさと太さのバランスを見直し、読みやすさと品位を考慮。

デザインの特徴(漢字)

1.横線が従来の明朝体より太い

 → 縦横比を極力抑え、遠近感をなくすことで、明朝体特有のちらつきを軽減
 

    ※ UD新聞明朝と従来新聞明朝との線幅比
[縦線] UD新聞明:イワタ新聞中明:イワタ新聞明 = 1.22:1.26:1
[横線] UD新聞明:イワタ新聞中明:イワタ新聞明 =1.78:1.27:1(80%扁平時)

2. エレメントが控えめ

 → ウロコ・ゲタなどの装飾を最小限の大きさにすることで、太さを感じさせず
  画線をのびのび見せる
 

3. ハネ,打ち込み,起筆部のはみ出し等を省略

→ 小サイズで潰れる原因となる狭い空間を極力なくした

4.横線の密度によって、横線の太さを段階的に調整

 → 横線が太いため、画数の多い文字での潰れや濃度ムラを回避

5.デフォルメ(変形)しすぎず、本来の明朝体の字形に近づける

  → 文字や部首本来のバランスを追求。文字を正方化しても変形しにくい
 (従来は文字が小さく扁平率が高かった為、文字の一部を大きくせざるを得なかった)

 

6.従来の新聞明朝で埋もれがちだった縦線の起筆部を出す

 → 小サイズでの黒みの偏りを軽減するとともに、字形の不自然さをなくす

 

※ その他、デザインの違いが顕著な例(上;UD新聞明朝,下;イワタ新聞明朝)

 

デザインの特徴(仮名)

1. 巻き込みを少なく

  → ふところを広げ、字形をはっきり見せる

2.濁点・半濁点を大きく

 → 小サイズでの識別を考慮